中学受験の生徒を見ると、令和の世であってもなお、つるかめ算や旅人算といった、いわゆる特殊算が指導されていることに気づきます。そこに親が介入し、xやyを用いた方程式を教えた結果、余計混乱してしまう…といった光景は、この界隈ではもはや日常茶飯です。
この指導方針は、「小学生には代数学の概念を獲得することは難しい」という前提に基づいています。そして、実際指導してみるとわかるのですが、たしかにそうなのです。
xやyだけでなく、最初は理解することが難しい概念はたくさんあります。それを習得するために、生徒達は怒鳴りながら、泣きながら独りで自室にこもって同じ本の同じ箇所を何回も読むのです。こういう苦しい経験を積み重ねて、学習の経験値はたまっていくものだと考えます。これまで概念を獲得するのに苦しんできた量が、新たな概念を獲得するための免疫となります。